今年度のテーマは、運動器であると同時に、関節運動のモニターとしても機能する筋、キネシオロジカルモニターに着目した治療法です。
今回は、キネシオロジカルモニターとしての役割を果たしていると推測される「棘筋」の構造と、その構造に基づいた脊椎運動の特徴についての講義と実技でした。
解剖学的には、頚部,胸部,腰部で、それぞれ骨の構造は変わりますが、棘筋を脊椎運動のセンサーとして捉えるなら、脊椎運動の支点がそれらの移行部ではないということができます。当然、運動の支点になる部分には物理的な負荷が掛かり、その周辺にはトリガーポイントが形成されやすくなります。棘筋は筋容積があまり大きくありません。
そのため、棘筋の施術は、他の筋容積が大きく収縮力が強い処理にコストの掛かる最長筋などの施術に比べ、施術者の労力コストを下げます。棘筋で背部の症状全てに対応できるわけではありませんが、キネシオロジカルモニターにフォーカスすることで、新しい治療の視点が生まれます。
小さい,短い,細い筋(筋容積の小さい筋)がキネシオロジカルモニターとして機能している可能性が高くなります。新しいアプローチを試してみたくなったり、手詰まりになったときはこの方法を思い出してください。大きい関節から小さな関節に至るまで、どの部位においても、キネシオロジカルモニター的視点で、今までにないアプローチができると思います。
担当講師:平癒堂鍼灸 平谷 透
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